意外と大事な労災保険

労災保険の二次健康診断給付

労災保険には労災の被害を受けたとき以外にも受けられる給付があります。二次健康診断給付は健康診断において異常が見つかった時、無料で検査を受けることができるというものです。

労働者の過労死や突然死は以前から問題となっていましたが、その多くは脳や心臓に関わる病気で亡くなっています。健康診断においてこれらの兆候があるときには詳しい検査を行い、過労を招いている原因を除去して突然死を予防することは、労働者を保護している労災保険の趣旨にも合致します。そこで労災保険は労災予防のための二次健康診断を給付内容のひとつとしているのです。

会社での健康診断で血圧、血中脂質、血糖、肥満度(BMI)のすべてに異常があったとき、健康診断から3ヶ月以内なら二次健康診断を無料で受けることができます。受けることができる検査の内容は、空腹時の血中脂質と血糖値の検査、ヘモグロビンA1C検査、心臓エコー、頸部エコー、微量アルブリン尿検査です。

さらに労災保険の二次健康診断給付として、検査結果に基づいた特定保健指導を自己負担なく受けることができます。その内容は食生活の内容に関する栄養指導、適切な運動を勧める運動指導、飲酒や喫煙、睡眠に関する生活指導となります。

二次健康診断を受けた労働者はその検査結果を会社に提出します。事業者は提出された二次健康診断の結果をもとに、医師からのヒアリングや過労状態の改善など、健康を阻害している要因について対策を講じる義務があります。