派遣と出向で異なる労災保険
派遣社員と出向社員、働いてる当人には意識の違いはあまり無いものですが、いざ労災が起こった場合には取るべき対応が異なります。
労災保険は、原則として雇用主が対応するように定められています。この雇用主が誰になるかが、派遣と出向では違うのです。
出向の場合、労働者は出向先と直接雇用の関係にあると見做されます。したがって労災保険料の納付は出向先が行う必要があります。現実には、労働者に賃金を払っているのが実質的に出向元になっていることもあり、その場合は出向元と出向先の話し合いでどちらが保険料を負担するのか決められています。そかしそのケースでも、労災保険を申請するのは出向先の役割になります。
万一労災が起こってしまったら、労働者自身は、まず出向先に対して、必要な調査や書類作成を依頼してください。出向先がその負担を出向元に求めるかどうかは別の話になります。
一方で、派遣社員は派遣先と直接雇用関係にあると見做されません。派遣社員はあくまで派遣会社に属しているのであり、労災は派遣会社が対応することになります。
労災保険を受けるには、事故の状況、診断書等、様々な書類が必要になるのですが、これらの調査・作成及び提出を、派遣会社の責任で行います。
事実認定に関して派遣先との話し合いも行われますので、人や書類が往復する必要も生じてきます。派遣会社の多くは遠隔地への派遣を行っており、なかなかスムーズにやりとりが進まないことも珍しくないようです。